海と水族館を丸ごと楽しめる複合施設串本海中公園

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串本海中公園についてABOUT MARINE PARK

色とりどりの熱帯魚、そして世界の北限と言われる本州最大の
テーブルサンゴの群落など美しい海中景観を一年中楽しむことができます。

 串本海中公園は、1970年7月、日本で最初に指定された海中公園地区です。串本の海は、近くを流れる黒潮の影響を強く受け、抜群の透明度と冬でも15℃を下回ることのない温かい水温を誇り、そこでは、色とりどりの熱帯魚、そして世界の北限と言われる本州最大のテーブルサンゴの群落など美しい海中景観を一年中楽しむことができます。

 串本海中公園では、この優れた海中景観を全ての方々に親しんでいただくために、串本の海を再現した水族館や海中展望塔を設けています。また、体験ダイビングなどよりアクティブに海中を楽しみたい方のために、同じ敷地内にダイビング施設「串本ダイビングパーク」を併設しています。

 1999年10月には、着席したまま三次元で海中景観を楽しめる近畿・東海初の半潜水型海中観光船が就航しました。2005年11月串本海中公園を含む串本沿岸海域がラムサール条約湿地として登録されました。

【ラムサール条約登録】世界最北の大サンゴ群生地

 串本海中公園を含む串本沿岸海域には、本州の中部という比較的高緯度に位置しながら大規模で高密度な、かつ、多様性の高いサンゴ群集が生息しています。特に、串本海中公園で見られるテーブルサンゴ(クシハダミドリイシ)の群生は、群生地としては世界で最北に位置するといえます。

 また、串本町大島では、日本ではとても珍しいオオナガレハナサンゴの国内最大群生地も見つかっています。このような、他では類を見ないサンゴ群集が評価され、2005年11月串本沿岸海域がラムサール条約に登録されることとなりました。

ラムサール条約とは?
ラムサール条約とは?ラムサール条約締約国 ラムサール(イラン)
グラン(スイス、ラムサール条約事務局所在地)

 渡りをする水鳥は、餌場やひなを育てる繁殖地として世界中の湿地を利用していますが、近年このような湿地は世界中で減少しつつあります。

 1971年、イランのカスピ海湖畔の町ラムサールにおいて「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」が制定されました。これが「ラムサール条約」です。日本は1980年にラムサール条約に加入し、わが国初のラムサール条約湿地として釧路湿原が登録されました。

 現在では、水鳥の生息地だけでなくサンゴ礁やマングローブ、地下水系など、さまざまなタイプの水辺の保全・再生を呼びかけています。2023年5月現在、この条約に加盟する国は172カ国です。

串本はなぜ選ばれたか?

 串本は北緯33度30分という位置にあり、位置的にみると本来ならサンゴよりも海藻がよく生える温帯の海に属します。しかしながら、串本はすぐ沖合を流れる黒潮によって、赤道付近から暖かく澄んだ海水が大量に運ばれてくるため、とりわけ暖かい環境が作られいます。そのため、沿岸では熱帯性の生物が豊富に見られます。その代表がサンゴで、串本の浅い海岸には熱帯の海に勝るとも劣らないくらいのサンゴが生息し、世界で最も北にあるサンゴの海をつくり出しています。このような串本の海の特異性が評価され、ラムサール条約に登録されました。

サンゴとは?

刺胞動物(しほうどうぶつ)

 サンゴはクラゲやイソギンチャクと同じ仲間、刺胞動物(しほうどうぶつ)に属します。この仲間は、刺胞(しほう)と呼ばれる毒針を仕込んだマイクロカプセルを持っているのが特徴です(左写真。細長いカプセルの中に毒針が入っている。)。クラゲに刺されて痛いのは、この毒が特に強いためです。サンゴもこの刺胞をもっていますが、ほとんどの種類はこの毒が弱いため、人に害を与えることはありません。

群体(ぐんたい)で生活

 サンゴは石灰質の堅い骨格を持ち、その骨には無数の穴があいています。その穴の中にはイソギンチャクを小さくしたような虫(サンゴ虫、ポリプともいう)がすんでいます。サンゴ虫はどんどん分裂してまわりにその数を増やしていき、たくさんの虫からなるひとかたまりの集団を作ります。サンゴ虫の分裂と共にサンゴ虫の入る穴も増え、それはまるで共同アパートのような構造になっています。サンゴはこのように集団で生活し、このかたまりを「群体(ぐんたい)」と呼びます。

褐虫藻(かっちゅうそう)とサンゴの働き

 サンゴの体は、堅い骨格の部分とその上におおいかぶさっている、サンゴ虫からなる肉の部分に分けられます。
浅い海にすむサンゴは、その肉の中に褐虫藻(かっちゅうそう)と呼ばれる小さな海藻をたくさん共生させています。
褐虫藻は、直径0.01mmの丸い単細胞の藻類で、サンゴは褐虫藻が光合成によって作った栄養のうち半分ほどを自分の生活のために利用し、残りの半分を体の外に放出しています。そのため、サンゴ周辺にはたくさんの生き物が集まってきます。
また、サンゴは、サンゴ自体やサンゴの骨が堆積してできるサンゴ礁が複雑な地形を作ることによって、いろんな生き物へ格好の住み家を提供します。

サンゴ礁とは?

 サンゴ礁とは、サンゴや貝、有孔虫など堅い骨格を持った生物の死骸が長い時間をかけて堆積し固まった地形のことをいいます。サンゴ礁が見られるのは、日本では種子島~沖縄諸島、小笠原諸島などで、串本はサンゴはいっぱいあってもサンゴ礁ではありません。
 右の写真は沖縄県は八重山にある黒島のコア(地質調査のため地中深くボーリングして岩盤をくり抜いたもの)です。黒島はサンゴ礁が隆起してできた島で、この岩は琉球石灰岩と呼ばれ、第四期更新世(約150万年前)以降に作られた比較的新しい地層です。よく見ると、岩には穴が空き、サンゴの骨格も見分けることができるほど粗い構造なのが分かります。

海のオアシス

 熱帯の海は青く美しく澄んでいてたいへんきれいですが、栄養に乏しいため動物がくらすにはいい環境とはいえません。しかし、サンゴが生息することによって栄養と住む場所が提供され、世界の海の中で最も生物多様性の高い場所が作られます。サンゴは海のオアシスと呼ばれるのはこのためです。

串本のサンゴ群集

串本のサンゴ群集の特徴
串本のサンゴ群集の特徴サンゴ群集を含む登録湿地
串本沿岸海域の位置とラムサール条約登録されている
サンゴ群集

 串本のサンゴ群集の特徴は本州という温帯域に位置しながら、種多様性が高く、かつ大規模な群生域が見られることです。特にサンゴの量は、本場沖縄と比べても引けを取りません。また、クシハダミドリイシ、ヒラニオウミドリイシ、ハナガササンゴ、オオナガレハナサンゴなど多くの種において、国内最大規模の群落が分布するのも大きな特徴です。
 またもう一つの特徴は、串本のサンゴ群集は緯度が高いため、サンゴ礁を形成しないということです。串本のサンゴ群集はサンゴ礁が形成されない海域にある、世界最北のサンゴの生態系なのです。
 このような特徴を持つ串本沿岸海域は、ラムサール条約湿地の登録基準のうち「特定の生物地理区を代表するタイプや固有のタイプの湿地、または希少なタイプの湿地」に該当しています。

串本にすむサンゴの種類
串本にすむサンゴの種類

 串本には120種ものサンゴが生息しています。この中には、広い範囲にわたって群生するクシハダミドリイシから、串本ではたった1つ(群体)しか見つかっていないカービーエダサンゴやリュウモンサンゴなどがあり、出現の度合いは種によって様々です。120種も見つかっている串本のサンゴですが、そのほとんどは串本では数が少なく、まれにしか目にすることはできません。串本でたくさん見られるサンゴは11種、全体の約10%程度です。

日本のラムサール条約湿地

日本のラムサール条約湿地

串本のサンゴとワイズユース

ラムサール条約では、産業や地域の人々の生活とバランスのとれた保全を進めるために、湿地の「賢明な利用(Wise use:ワイズユース)」を提唱しています。湿地は、地域の特産物や産業を育て、地域を行かした観光を育て、地域を大切にする心と知恵を育てます。条約湿地では、湿地の保全や賢明な利用のために、人々の交流や情報の交換、教育、普及啓発活動が進められています。
 串本のサンゴ群集はラムサール条約湿地として、国際的に重要で貴重なサンゴ群集です。未来に向かって保全するのは私たちの責務であり、そのためにも地域一帯、あるいは広く国民と共に、ワイズ・ユースの精神を十分に理解して、串本の海をいとおしむ精神を持ちましょう。

保全・再生

水鳥の生息地としてだけでなく、私たちの生活環境を支える重要な生態系として、幅広く湿地の保全・再生を呼びかけています。

賢明な利用

 ラムサール条約では、産業や地域の人々の生活とバランスのとれた保全を進めるために、湿地の「賢明な利用(wise use:ワイズユース)を提唱しています。賢明な利用とは、湿地の生態系を維持しつつ、そこから得られる恵みを持続的に利用することです。

交流・学習

 ラムサール条約では、湿地の保全や賢明な利用のために、人々の交流や情報の交換、教育、啓発活動(CEPA- Communication, Edication and Public Awareness)を進めることを決議しています。

海洋生物の保全・保護

串本海中公園では絶滅を危惧されている海洋生物の保全・保護を推進するとともに様々な活動を行っております。

サンゴ保全の取り組み

 美しいだけでなく、様々な生き物たちの生態系を支えているサンゴは、 海の酸性化、海水温上昇、汚染の影響によって地球規模での白化現象が止まらず、次々と絶滅危惧種に指定されています。
串本海中公園ではサンゴの保全活動、生態研究に取り組んでいます。

ウミガメ保護の取り組み

 古来より「幸運を運ぶ」生き物として様々な伝承や物語に登場するウミガメは、 私たち日本人にとっても馴染み深い美しい生き物です。しかしながら捕獲や生息環境の悪化などのために生息数が減少しており、国際自然保護連合によって絶滅危惧種に指定されています。
串本海中公園ではウミガメの産卵・飼育・生態研究に取り組んでいます。


私たちは串本の海、そして私たちにつながる海について考えています

 当館は日本で最初に指定された海中公園の一つ、串本海中公園地区(現海域公園)を多くの方に紹介できるよう、1970年に設立された施設です。自然の海を観察できる海中展望塔、海中観光船、そして串本周辺の生物を紹介する水族館を通して、開業以来多くのお客様に串本の海の魅力を伝えてきました。私たちは、地元の海とその周辺にすむ生き物だけを紹介してきた、地方の小さなテーマパークですが、半世紀近く運営を続けてこられたのは、この串本の海がユニークで、多種多様な生物を育む、世界のどの海にも負けない優れた海であり、そのことが多くの人を惹きつけてやまないからだと自負しております。それゆえ当館のベースは目の前の海にあるという考えから、環境の保全活動、教育普及活動を続けています。例えば、気候変動で大きな影響を受けているサンゴ群落の保全と再生の研究、沿岸開発や乱獲などで絶滅が危惧されるウミガメの生態と繁殖の研究、子どもたちに海への関心を深めてもらうためのマリンスクールや体験プログラムなど、様々な活動で串本の海の保全に取り組んでいます。

 しかし、私たちは串本の海さえよければ良いとは思ってはいません。なぜなら、海はつながっているからです。串本の海、とりわけ当館が位置する串本西岸の海域は沖縄から流れてくる黒潮の影響を強く受け、沖縄から運ばれてくる様々な生物の加入によって、現在の熱帯的な生態系が形成、維持されているといっても過言ではありません。  一方、沖縄に目を向けると、開発による沿岸の汚染、基地の建設による埋め立てなど、人間の都合によって多くの生物の命が脅かされています。中でも、ジュゴンは日本では沖縄本島の東海岸でしか見られず、その数もわずか50頭以下と言われ、第一級の絶滅危惧種とされています。ジュゴンは浅海の海草藻場を餌場としており、開発が進めばこの藻場も消失し、国内のジュゴンの絶滅につながると予想されます。

 目の前の海が豊かだからこそ存在する私たちのような企業は、消えようとしている生き物、それを育む環境は守られるべきだと考えます。串本海中公園センターは、海の生き物たちの保全を推進する立場からも、私たちにつながる海の未来を守りたいと考えます。

福島第一原発汚染処理水について

 これまで当館では、海洋生物の保全・保護として、様々な取り組みを行ってまいりました。 現在、海洋プラスチックゴミなど様々な原因により海洋汚染が問題となっておりますが、 福島第一原発の汚染処理水が放流された場合、その影響は想像もつきません。 近海漁業関係者へ被害、世界各国からの非難はもとより、自然への影響はこの先何十年も残り続け、海の生物や私たち人間にとっても、影響を後世に残すことでしょう。
 よって、串本海中公園センターは、福島第一原発の汚染処理水の海洋放流に反対いたします。
 当館では、串本や日本近海のことだけを考えるのではなく、世界中の海全てを大切に考え、未来のために海の環境を守り続けることを誓い、これからも可能な限り環境保全活動を続けてまいります。


沿革

1969年 9月 会社設立

1970年 8月 レストラン・グラスボート開業

1971年 1月 海中展望塔開業

1971年10月 水族館開業

1989年 1月 串本ダイビングパーク開業

1999年10月 半潜水型海中観光船『ステラマリス』就航

2005年11月 ラムサール条約湿地に登録

動物取扱業に関する表示

事業所の名称: 株式会社串本海中公園センター

事業所の所在地: 東牟婁郡串本町有田1157

動物取扱業の種別: 展示

登録番号: 和歌山県19第7011号

動物取扱責任者の氏名: 森 美枝

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